○白い牙・高い峠(昼)
雪に目がくらむほどの光。WREN(30代)、フードをかぶり、霜でこわばったマント。道が途切れたところで足を止める。
山が動く。氷のドラゴンが斜面から頭をもたげ、その息が雪崩のように峠を転がり落ちる。
大聖堂ほどの洞窟から、巨体が這い出してくる。首が空へとのびていく。
はるか上から:尾根に小さな人影がひとつ。彼女は逃げない。
槍ほどもある棘から、氷がはがれ落ちる。
WREN
「母の借りを、返しに来た」
ドラゴンが頭を下げる。淡い色の目が、彼女の目の高さまで降りてくる。
ドラゴン
(氷が裂けるような声で)
「ここでは、一文字ごとに一年。おまえは今、十年を払った」
Wren は谷を見わたす。世界の果てまで真っ白だ。自分に残された年月を数える。
(カット)

































