ディープフォーカス一つのフレームに物語すべてを

ディープフォーカスは前景・中景・後景すべてにピントを合わせる撮り方だ。一つのショットの中で複数の芝居を同時に見せられる。観客はどこを見るか自分で選び、近さと遠さの関係そのものがドラマになる。

別名パンフォーカス全焦点

デモクリップ、4秒。このページのプロンプトからSeedance 2.0 Miniでレンダリング。

光学効果

スクリーン上で効く理由

登場人物同士の距離感が物語そのものになる場面で使う技法だ。窓の外で遊ぶ子供と、その未来を決める大人たち。上司が見つめる遠くのオフィスと、デスクに向かう部下。奥でピアノを弾く友人と、手前で何かを決断する二人。権力関係、皮肉、緊張、社会的な視点を描くのに向いている。異なる距離で起きる二つ以上の芝居を、カットを割らずに同時に見せる必要がある場面でこそ使う価値がある。逆に、ある一人の内面の感情だけを描きたい場面では、余計な情報がその感情を薄めてしまう。

ショットリストの一行

サイズ
ワイドショットまたはミディアムワイドショット
アングル
アイレベルかやや低め
movement
固定
レンズ
18mmから28mm、絞りf/8からf/16
尺
6秒から15秒

小絞りに耐えられるよう各層を強く照らすこと。芝居の配置は、どの層も互いを隠さずに読み取れるように組む。

脚本

脚本上での書き方

脚本に「ディープフォーカス」とは書かない。その代わり、アクション行で奥行きのある演出を書く。手前で何が起き、中景で何が起き、奥で何が起きているかを同時に描写する。この段取りは脚本家の道具であり、監督はそこから自然にこのショットを読み取る。レンズ、絞り、照明の強さ、俳優一人ひとりの立ち位置は、ショットリストとフロアプランで決めることだ。

INT. アイオワの農家の台所 - 昼

手前のテーブルには、銀行からの手紙が開いたまま置かれている。

流し台では、ルース・ハルヴォーセン(50代、腰にワークグローブを挟んでいる)が鍋をこすっている、鍋を見ずに。

彼女の向こう、窓の外では息子のエズラ(12)が古いトラクターを庭で丁寧に円を描いて走らせている、得意げに。

ルースは彼を見る。それから手紙を。それからまた彼を。

RUTH

もう一周したら、家の仕事だよ。

絵コンテ

絵コンテでの見せ方

フレームに三つの層を明確に描く。前景に大きな物か顔、中景に人物、後景に別の芝居。すべてを同じ強さの線で、同じ密度で描くこと。カメラ位置と各俳優の距離を示す小さな俯瞰図も添える。観客の目が層から層へ移る動きを示す場合は点線で示し、パネルの下に絞り値と焦点距離をメモする。

組み合わせると効く技法

レイヤード・デプス
レイヤード・デプス

レイヤー構成は意味のある要素を前景・中景・後景に配置する。ディープフォーカスはそのすべてにピントを合わせ、観客は配置全体を一つのメッセージとして読み取れる。

静止固定ショット
静止固定ショット

固定カメラは、観客が奥行きのあるフレームをじっくり見渡す時間を与える。カメラの動きに引っ張られることなく、各距離で起きていることに気づける。

参考作品

この技法が使われている作品

  • 市民ケーン (1941)

    グレッグ・トーランドの撮影は、レンズ近くの物、中景の人物、遠くの背景をすべてピントの合った状態に保ち、奥行きの中で芝居を展開させる。

  • 我等の生涯の最良の年 (1946)

    バーの場面で、手前ではホーマーがピアノを弾き、奥のブース席ではフレッドが辛い電話をかけている。両方にピントが合い、観客は二つの物語を同時に見る。

ScreenWeaver

ScreenWeaverで設定する

脚本のアクション行に、各距離で起きていることを描写すれば、ScreenWeaverが自動でショットに分割する。奥行きのあるショットを開き、アイレベルのワイドフレーミング、固定の動き、観客が見渡せる長さの6秒から15秒を設定する。キャラクターとロケーションはショット間で引き継がれるので、フレームの奥行きの中でも人物は識別できる。照明を計画する前に、AIプレビジュアライゼーションで各層がきちんと読み取れるか確認しよう。

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このクリップのプロンプト

これはページ上部のクリップをレンダリングした、そのままのプロンプトだ。カメラと光の記述は残し、主体と場所だけを変えればいい。

Deep focus shot on an Icelandic black sand beach at midday, camera locked on a tripod at knee height. In the foreground, wet volcanic rocks sit sharp just centimeters from the lens; in the midground, a woman in a dark wool coat walks slowly along the shoreline, fully in focus; in the background, jagged sea cliffs and crashing waves remain crisp all the way to the horizon. Flat, bright overcast light with no haze. Nothing blurs at any distance, the whole frame stays evenly sharp for the full four seconds, only the woman and the waves move. No text.

よくある間違い

  1. 01

    光量不足

    小絞りには多くの光量が必要だ。足りないと画がざらついたり、ピントの合う範囲が崩れたりする。最初からf/8以下を想定して照明計画を立てること。

  2. 02

    奥で何も起きていない

    後景にピントが合っていても、そこで意味のあることが起きていなければ意味がない。各層に目的を持たせて演出し、なぜそこが見えているのかを観客に伝えること。

  3. 03

    情報の競合

    すべての層が同じくらい動きに満ちていると、目線がどこへ向かうべきか分からなくなる。光、動き、音を使って、フレーム内の注目点を誘導すること。

脚本家からよくある質問

ディープフォーカスを脚本にどう書けばいいか?
奥行きのある段取りを書く。前景、中景、後景それぞれで何が同時に起きているかを描写する。カメラ用語は使わない。読者はその配置を読み取り、監督はそこから奥行きのある、全体にピントの合ったフレームが必要だと判断する。
ディープフォーカスにはどんなレンズと絞りを使うか?
18mmから28mmほどの広角レンズと、f/8からf/16程度の小絞り、そして十分な光量が必要だ。小さいセンサーも有利に働く。ピントは通常、近くから遠くまで許容範囲でシャープに見えるパンフォーカス距離(過焦点距離)に合わせる。
ディープフォーカスは古い手法か?
1940年代に有名になった技法だが、現代の社会派ドラマ、コメディ、広大な風景を描く作品でも使われている。観察的で公平な印象を与え、観客に判断を委ねられる。浅い被写界深度の方が今は主流だが、ディープフォーカスは強力な選択肢として残っている。
スプリットディオプターはディープフォーカスの代わりになるか?
スプリットディオプターは、フレームの一部にハーフレンズを重ねて二つの距離にピントを合わせる手法で、その間には境界線がぼやけて現れる。光量が限られている場合に有効だが、二つの層しか対応できず、境界線が目立つこともある。