結論から言うと: プレラップとは、次のシーンの音が、今のシーンの最後のビートの下で先に始まることです。終わっていくシーンの最後の要素として書き、台詞なら発話者と一緒に (PRE-LAP) と記します。たとえば「ジェイク(PRE-LAP)」。そのあとに新しい柱を書いて続けます。音が本当に読み手を次のシーンへ引き込むときに使い、無理を感じたら外しましょう。場面転換のほかのルールは書式の総合ガイドにまとめています。
画はまだ前のシーンのまま。台所にいる人物、道を走る車。でも音はもう次のシーンです。電話の呼び出し音。群衆。声。プレラップとは、これから来るシーンの音が今のシーンににじみ込む瞬間です。観客は未来を見る前に聞きます。カットが来たとき、それは必然に感じられます。もう先へ引っぱってあるからです。小手先の技ではありません。脚本家の道具箱で最も使われていない道具の1つです。
音は画を待たなくていい。音に先導させよう。観客はついてくる。
こう考えてください。ハードカットは句点です。新しいシーン、新しい画、新しい音。観客はリセットされます。プレラップは橋です。次の場所、あるいは次の瞬間の音が、まだ前のシーンにいるうちに始まります。だからカットしたとき、私たちは飛び移るのではなく、すでに招かれていた場所に到着するのです。プレラップは恐怖(空っぽの部屋を見る前に警報が聞こえる)、期待(舞台を見る前に歓声が聞こえる)、連続性(同じ会話を別の角度から聞く)を生みます。大事なのは、読み手と音響デザイナーがあなたの狙いをわかるようにページに書くことです。
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プレラップとは何か(何ではないか)
プレラップとは、次のシーンに属する音が、そのシーンへのカットの前に聞こえることです。私たちはシーンAにいます。台詞、音楽、効果音が聞こえますが、その音源はシーンBで初めて見えます。そしてシーンBにカットし、音は続くか、そこで決着します。観客には合図が出ています。新しい空間、新しい瞬間への準備ができているのです。
あいまいな意味でのサウンドブリッジ(カットをまたぐ音)とは違います。サウンドブリッジは、シーンAの音がシーンBへ続くことでもありえます。プレラップは特に、シーンBの音がシーンAで始まることを指します。音の向きは前方。来るものを、見る前に聞くのです。
ページの書式では、音がプレラップであることをはっきりさせる必要があります。一般的な表記は、音の要素(台詞か効果音)の前に置く (PRE-LAP) か PRE-LAP: です。たとえば今のシーンのト書きの下に「電話が鳴る。(PRE-LAP: ジェイク (O.S.)) ジェイク:もしもし?」と書く。あるいは「(PRE-LAP: 車の流れ。クラクション。)」。次の行に新しい柱を書けば、私たちはもう音のある新しい場所にいます。読み手とポストプロダクションのチームには、この音が次のシーンからにじみ戻ってきたものだと伝わります。

このガイドの後半に出てくる取調室の例をページにしたもの。プレラップの行は、シーンAの最後のビートの下、新しい柱のすぐ上に置かれます。
なぜ使うのか
プレラップには3つの仕事があります。1つ目は、転換をなめらかにすること。次のシーンにもう足がかりがあるので、カットが唐突に感じられません。2つ目は、緊張や皮肉を生むこと。車の中でひとりきりの人物を見る前に、陽気なパーティーの音が聞こえる。被告の顔を見る前に、判決が聞こえる。3つ目は、時間を圧縮し、つながりを示すこと。あるシーンの終わりに聞こえた台詞が、次のシーンで口にされるのを見る。繰り返しではなく、続きです。重なりこそが狙いです。
実践的な比較
| 技法 | 何が起きるか | 効果 |
|---|---|---|
| ハードカット | 新しいシーン、新しい画、新しい音 | はっきりした区切り。観客はリセット |
| シーンAの音がBへ続く | 同じ音がカットをまたぐ | 連続性。1つの要素を持ち越す |
| プレラップ(Bの音がAで) | 次のシーンを見る前に聞く | 前へ引く力。期待か恐怖 |
| ポストラップ(Aの音がBで) | カットのあとに前のシーンが聞こえる | 余韻。後遺症。記憶 |
観客を前へ引っぱるのはプレラップです。次のシーンを必然に感じさせたいとき、あるいは見る前に合図(声、場所)を植えておきたいときに使いましょう。脚本で音を描写する方法と同じく、目標は明快さです。読み手とチームは、何がいつ聞こえるのかを知る必要があります。

上の表をタイムラインにしたもの。プレラップでは、音のレーンが画のレーンより先に変わります。
よくある場面:取調室から留置場へ
シーンは取調室。刑事が容疑者を追い詰めます。「長いあいだ出てこられないぞ」。画はまだ容疑者の顔です。そこで、カットの前に、独房の扉が閉まる金属音と廊下の反響が聞こえます。(PRE-LAP: 鉄の扉が閉まる音。足音。) カット。○留置場・独房(夜)。容疑者は独房にいます。さっき聞こえた音はこのシーンのものでした。2つの空間を音でつないだのです。観客は、判決を見る前に感じました。これが物語の仕事をするプレラップです。
よくある場面:まだ着いていないパーティー
主人公は車を運転しています。不安そうです。画は彼女の顔のまま。そこへ音楽、笑い声、人のざわめきが聞こえてきます。(PRE-LAP: パーティーの音。音楽。笑い声。) カット。○大邸宅・広間(夜)。パーティーは真っ盛り。彼女はちょうど着いたところです。私たちは彼女の孤独から、これから入っていく世界へ移りました。音が引き込んだのです。字幕カードも建物のロングショットもいりませんでした。プレラップが仕事をしたのです。
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Start Free塹壕戦:初心者がやりがちな間違い
すべての転換にPRE-LAPを使う。 すべてのカットにプレラップが必要なわけではありません。多用すると力を失い、小細工に見えます。対処: 観客に次のシーンへの引力を感じてほしい転換、あるいは次のシーンの音が意味(恐怖、皮肉、連続性)を生む転換だけに取っておきましょう。ほかのカットはすっきりさせます。
表記しない。 「電話の鳴る音が聞こえる」と書いて、誰かが電話に出るシーンへカットする。読み手は、電話が今のシーンにあると思うかもしれません。音響デザイナーもです。対処: (PRE-LAP: か PRE-LAP: を使って、誤解の余地をなくしましょう。台詞も同じです。(PRE-LAP: サラ) サラ:外にいるよ。そして外にいるサラへカット。このルールは、全員が同じページを読むためにあります。
間違った要素をプレラップにする。 物語上の重みのない背景音のような、どうでもいい音にプレラップを使う。転換は意図的ではなく、うるさく感じられます。対処: それにふさわしいものをプレラップに。決まる台詞、次の場所や次の感情を知らせる音。削っても困らない音なら、プレラップにしないこと。
プレラップを長くしすぎる。 カットの前に次のシーンが10秒も聞こえる。画が見えるころには、観客は退屈しているか混乱しています。対処: 短く。台詞1つ。音1つ。ビート1つ。そしてカット。狙いはじらすことで、次のシーン全体を音声トラックで流すことではありません。
同じシーン内の画面外の台詞と混同する。 今のシーンの人物が隣の部屋の誰かの声を聞いているなら、それは今のシーンのO.S.(画面外)です。プレラップは、次のシーン、つまり別の時間か場所の音がにじみ戻ってくることです。対処: 新しいシーンにカットしないなら、プレラップとは呼ばないこと。O.S.かV.O.を使い分けましょう。プレラップは転換の瞬間のためのものです。

5つの間違いを1画面に。次の改稿のときにどうぞ。
ステップごとに:転換にプレラップを加える
もっとなめらかに、あるいはもっと張りつめた転換にしたい、2つのシーンのあいだのカットを見つけます。自問しましょう。次のシーンのどの音なら、少し早く始められるか?台詞(たとえば次のシーンの最初の一言)?効果音(扉、警報、群衆)?音楽?その音を、今のシーンの最後のビートの下に書きます。前に (PRE-LAP: をつけ、台詞なら発話者も書きます。たとえば (PRE-LAP: ジェイク)。それから新しい柱を書いて続けます。声に出して、あるいは頭の中で読んでみましょう。その音は次のシーンへ引き込んでくれますか?無理があるなら、別の音を試すか、プレラップをやめましょう。

3つの確認。どれか1つでもノーなら、O.S.かV.O.か、すっきりしたカットです。
プレラップを使わないとき
時間や場所の急な飛躍のように、転換で観客を揺さぶりたいときはすっきりしたカットを。次のシーンが静かで親密な瞬間で、音で先に知らせたくないときもすっきりしたカットを。すでに何度かプレラップを使っていて、次のカットを違うリズムで決めたいときも同じです。プレラップは道具であって、規則ではありません。最高の転換は物語に仕えるもの。それが沈黙のときもあれば、未来からの音のときもあります。
視点
プレラップは、書き手がこう言うことです。次のシーンは、観客の耳の中ですでに始まっている。あなたは新しい場所へ移るだけではありません。観客をそこへ引っぱっていくのです。引っぱることそのものが狙いのときに使いましょう。カットを必然に感じさせたいとき、あるいはこれから来るものの音が、去っていくものの画より強いときに。
日本のアニメでは、台詞を先に録るプレスコより、画に合わせて声を当てるアフレコが主流です。だからこそ、脚本の段階でプレラップを書いておくと、音響監督が転換で何を先に鳴らすべきかを最初から共有できます。
FAQ
プレラップとナレーション(V.O.)の違いは?
ナレーション(V.O.)は、シーンの空間に属さない語りや心の声です。プレラップは次のシーンに実在する音で、先に聞こえ、カットのあとにその音源が見えます。
音楽にもプレラップは使えますか?
使えます。あるシーンの終わりの下で始まり、次のシーン(パーティー、ラジオ、コンサート)で正体がわかる曲は、典型的なプレラップです。音源が次のシーンにある場合か、その転換が物語にとって大事な場合だけ書きましょう。
1本の脚本でプレラップはいくつまで使えますか?
決まった数はありませんが、少なく狙いを絞ったほうが効きます。ほとんどのシーンがプレラップで終わると効果がすり減ります。音が本当に意味を運ぶ転換のために取っておきましょう。
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