結論から言うと: まず文字の層を決め、その層に1つのキーワードを使います。画面いっぱいの文字ならTITLE CARD、映像に重ねる文字ならSUPERかCHYRON、名前や肩書きならLOWER THIRD。その後に必ず正確な文言をかぎかっこで書きます。たとえばSUPER:「東京 - 現在」。観客が目にする位置にその行を置き、物語に必要なときだけ表示時間を書き、スマホのような劇中の画面はふつうのト書きで書きましょう。全体の手引きは脚本の書式まとめページにあります。
「パリ、1940年」。上院議員の顔の下に名前が出る。ニュースのティッカーが流れる:市場、急落。3つの違う文字の層、3つの違う役割。それなのに初心者は全部を同じ書き方にするか、まったく書かないかのどちらかです。
タイトルカード、スーパー、名前テロップは映画のタイポグラフィです。観客を方向づけ、人物を示し、人物が口に出さない情報で物語に圧力をかけます。脚本家は書体を決めません。中身とタイミングを指定するのです。そうすれば読み手、編集、グラフィックのチームの足並みがそろいます。
このガイドでは、それぞれの文字の種類を区別し、一貫した書式のルールを示し、脚本をきれいで制作にそのまま使える状態に保つための運用ルールを順に説明します。日本の脚本では「T『○○』」や「テロップ『○○』」と書く慣習もありますが、考え方は同じです。
仕組み:3つの文字の層、3つの役割
タイトルカード: 画面いっぱいか画面の主役になる文字で、実写とは切り離されることが多いもの。場所や時間の飛躍、章のタイトル、3年後、第一部:狩りのような様式的な章の区切り。
スーパー(チャイロン): 実写や資料映像の上に重ねる文字。速報のバナー、場所の表示、時刻。画面の上か下に出ることが多いです。
名前テロップ(ロワーサード): 名前と肩書きの表示で、ふつうは左下。ジェームズ・コール - 弁護人。ドキュメンタリー、ニュースの場面、政治ドラマでよく使います。
3つとも脚本のト書きの部分に書き、セリフにはしません。書き方を1つ決めて、繰り返しましょう。

それぞれの層がふつう画面のどこに出るかと、対応する脚本の行。
観客が何を読むかを指定する。どう見せるかは制作に任せる。
画面の文字の基本はテロップと画面の文字を、報道の場面での使い方はニュース番組の場面の書き方を、オープニングクロール(タイトルカードの親戚)はオープニングクロールの書き方をご覧ください。
媒体別・用途別
長編映画(章と場所のカード)
タイトルカードの例:
TITLE CARD:「シカゴ - 1927年」 FADE IN:
使うとき: 時代劇、オムニバス構成、セリフでは扱えないほど大きな時間の飛躍。
避けること: シーンごとのタイトルカード。観客はすぐに疲れます。
連続ドラマ(エピソードの構成)
初登場時の名前テロップ:
SUPER:「アンナ・メルセデス刑事」 彼女が刑事部屋に入ってくる。誰も顔を上げない。
使うとき: 大人数の群像劇、ドキュメンタリー調、第1話での人物紹介。
ニュースとドキュメンタリー調
スーパーと名前テロップの組み合わせ:
テレビ画面 - ニュース専門チャンネル CHYRON:「速報 - 法案否決」 LOWER THIRD:「ヘイル上院議員 - 財政委員会」
使うとき: 劇中にメディアが出てくる場面、政治スリラー。
配信・リミテッドシリーズ
エピソードや幕のあいだの様式的なタイトルカード。長編のカードと同じ書式です。(3秒静止)と書くのは、タイミングがギャグやリズムに欠かせないときだけ。
外国語と字幕の重なり
名前テロップが話し手を示し、字幕がセリフを訳す場合は、外国語と字幕のルールに従ってセリフの書式で訳を指定します。重複するスーパーを重ねないこと。
手順:文字の層を正しく加える
ステップ1:層を決める。 画面いっぱいのタイトルか?映像に重ねるのか?名前の表示だけか?層を間違えると制作が混乱します。
ステップ2:キーワードを選ぶ。 よく使うのはTITLE CARD:、SUPER:、CHYRON:、LOWER THIRD:。脚本ごとに主なキーワードは1つ。日本語で「テロップ:」と書いても構いませんが、英語のキーワードと混ぜないこと。
ステップ3:正確な文言をかぎかっこで書く。 SUPER:「ロンドン - 現在」であって、場所のスーパーが出るではありません。
ステップ4:観客が目にする位置に行を置く。 ふつうは該当するショットに切り替わる直前か、切り替わると同時。
ステップ5:表示時間は物語に欠かせないときだけ書く。 テンポの速いコメディや、音楽のきっかけに合わせるなら(TITLE CARD - 2秒)。
ステップ6:劇中の文字と正式なスーパーを分ける。 スマホの画面の文字はト書きのまま:彼女のスマホの表示:午前2:34。正式な時間の飛躍にはSUPER:かTITLE CARD:を使います。
ステップ7:重複を点検する。 セリフで「ここはロンドンだ」と言っているなら、演出上の理由がない限りスーパーは要らないかもしれません。

ステップ1と6を判断の流れにしたもの。
運用編:書式の早見表と要件
早見表
| 種類 | 目的 | 書式の例 |
|---|---|---|
| タイトルカード | 章、場所、時間 | TITLE CARD:「第二幕」 |
| スーパー | 方向づけ、速報 | CHYRON:「屋内退避を」 |
| 名前テロップ | 名前、肩書き、身元 | LOWER THIRD:「マーラ・リン - 内部告発者」 |
| 劇中の画面 | スマホ、PC、小道具 | ト書き、SUPERは使わない |
大文字と句読点
業界の慣習はまちまちです。正しさの議論より一貫性が勝ちます。英字を含む場合はどちらかを選びましょう。
- スーパーの文字はすべて大文字:
SUPER:「NEW YORK - 1999」 - またはかぎかっこの中は先頭だけ大文字:
SUPER:「New York - 1999」
1本の脚本で両方を使わないこと。
使いすぎの兆候
- 時間の飛躍がないのに、5ページで3つ以上のスーパー
- 食事の場面で、話す人物全員に名前テロップ
- 今聞いたばかりのセリフを繰り返すスーパー
制作への受け渡し
グラフィック部門は、脚本の香盤からスーパーを抜き出します。文言が正確なら、ポスプロで高くつく確認メールが減ります。
アクセシビリティ
スーパーは、目の見える観客が視覚で受け取る情報を運びます。物語の筋に欠かせないスーパーの事実が、目の見えない観客にとって届かないままにならないようにしましょう。セリフや、制作向けの音声ガイドのメモなど、別の経路で繰り返すなら別です。
よくある場面:複数都市のパイロット
あなたのパイロットは20ページでシカゴ、ワルシャワ、ドバイを行き来します。タイトルカードが負荷を引き受けるので、シーンの冒頭で人物が地名を告げずに済みます。
TITLE CARD:「シカゴ - 午前6時」 INT. 高架鉄道の車内 - 走行中 - 昼 ... TITLE CARD:「ワルシャワ - 午後2時」 INT. アパートの部屋 - 昼 ... TITLE CARD:「ドバイ - 午後9時」 EXT. マリーナ - 夜
同じ書式は読み手を慣れさせます。制作はタイトルのテンプレートを1つ作り、使い回せます。

ページには同じ形の3行、画面には同じ形の3枚のカード。
よくある場面:ドキュメンタリー調の紹介
ドキュメンタリードラマの調子で、初めて上院議員に出会う場面:
INT. 委員会の公聴会室 - 昼 LOWER THIRD:「ダイアン・ヘイル上院議員 - 監視委員会委員長」 ヘイルがマイクを直す。中継ではすでに話の途中だ。
名前テロップが、セリフで無駄にすべきでない人物紹介を担います。3話後にスーパーなしで再登場しても、観客は覚えています。
納品前の点検
書き出したPDFでSUPER、CHYRON、TITLE CARD、LOWER THIRDを検索します。隣り合う2つのシーンが、時間の飛躍もなく同じ場所のスーパーを使っていたら、1つを削ります。次の行で人物がスーパーの文言を声に出して言っていたら、セリフかスーパーのどちらかを消します。

点検と使いすぎの兆候を1枚に。
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Start Free成果:きれいな書式がもたらすもの
読み手の方向感覚。 文字が画面いっぱいか重ねるものかを推測しなくて済みます。
ポスプロの効率。 グラフィックは何を作ればいいかわかります。
調子のコントロール。 ドキュメンタリーの重み、コミカルな章のカード、ニュースの緊迫感。書式を分ければ、それぞれ違って読めます。
失敗の例:
- あいまいな「文字が出る」
- ばらばらなキーワード(SUPER、CHYRON、TITLEがでたらめ)
- セリフと重複するスーパー
- シーンの中で見せたほうがいい情報にタイトルカードを使う
成功のテスト:物語を知らない読み手に脚本を渡します。時間が飛ぶシークエンスの後、セリフを読み返さずに新しい時間と場所を言えるでしょうか。言えるなら、文字の層は機能しています。
なぜ大事か:昔のやり方と新しいやり方
昔のやり方: 書き手は編集が「ポスプロでタイトルを入れる」だろうと考え、ページを空白のままにしていました。読み手はつまずき、グラフィックは監督からばらばらな指示を受けました。
新しいやり方: 脚本は、ニュース番組の場面の書式と同じ規律で画面の文字を指定します。ドキュメンタリー調や政治もののライターズルームは、エピソードごとにスーパーの一覧を管理しています。
画面のタイポグラフィは作家の仕事です。はっきり書けば、セリフだけでなく、映画の情報の設計そのものを自分のものにできます。
最後に:画面の文字を自分のものに
今夜、脚本を点検しましょう。画面に文字が出る瞬間をすべてマークし、タイトルカード、スーパー、名前テロップのどれかのラベルをつけ、正確な文言を書き、重複を削ります。
書体や動きは制作が選びます。あなたが選ぶのは、観客が何を、いつ知るかです。
キーワードを選ぶ。文言を書く。カットが入る位置に置く。
フレームはあなたのものです。その上の言葉も、そうであるべきです。
FAQ
スーパーと名前テロップの違いは何ですか?
スーパー(SUPERやCHYRON)は映像に重ねて方向を示す文字で、場所、時刻、速報などです。名前テロップ(LOWER THIRD)は人物を名前と肩書きで示し、ふつうは左下に出ます。どちらもト書きに、正確な文言をかぎかっこで書きます。
キーワードは英語と日本語のどちらで書けばいいですか?
国際的な制作で通じるTITLE CARD、SUPER、LOWER THIRDでも、日本の現場でなじみのある「テロップ」でも構いません。大事なのは、同じ層には脚本全体で同じ言葉を使うことです。
スマホの画面に出るメッセージはスーパーですか?
いいえ。スマホやPCのように物語の世界に存在する文字はト書きで書きます。「彼女のスマホの表示:午前2:34」。SUPERやCHYRONは、観客にだけ見える文字に使います。
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